なみのりとむのサーフィン・サファリ日記

アフリカ、ギニア湾岸在住。毎週末の波乗りがサーフィン・サファリです。

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ギロチンダンパー

【アフリカ・サーフィンサファリ日記 第3話】

なみのりとむです。出稼ぎ先のアフリカで、サーフィンサファリなお話。週末、連休、波より日和に、ぼちぼち連載していきたいと思います。きょうはその第3話。

※第2話はこちらから。

前回お話ししたとおり、自分の住んでいるエリアから日常的に通えるブレイクポイントは、現実的にはこのAエリアに限られる。ここの波を少しご紹介。

アフリカ西部、ギニア湾北岸。赤道線のちょっとだけ北側を、ほぼ東西一直線にビーチが伸びる。リーフや岬があるところは、よいブレイクとなるが、残念ながら自分の通えるところには、そういう地形がない。

ギニア湾はとても広い。西はそのまま大西洋に溶け込んでいるし、東はアフリカ大陸が封鎖している。西アフリカの海岸を経度線に従って、ずっと南に下げていくと、南極までたどり着く。

なみのりとむのいるギニア湾北岸に入ってくる波は、この南極付近で発達した、荒れ狂う冬の低気圧が源。南半球、南極に近いところから、はるばる6000キロ近くの旅を経て、アフリカ西岸にやってくる。波はアフリカ大陸が邪魔して東方面には出られない。その間、波はどんどんまとまって、周期の長いスウェルを構成する。いわば「逆ハワイ」。

南半球の冬は、北半球のアフリカから見れば4月〜9月頃。この時期、わがAポイントには通常16-20m/秒超といった、周期の長い波が押し寄せる。

ハワイと違うのは、ここが完全に「サンドビーチ」だということ。そしてドン深。有義波高が1.6メートルもあれば、ブレイクでは頭半ぐらいの「ギロチンダンパー」、それを越えればダブル近くなって、完全クローズになってしまう。このシーズン、ビーチが近くなると、浜を見なくとも地響きで波の様子がわかるくらい。

さらに。当地は赤道直下で、ほぼ通年、風は赤道から吹いてくる。つまりいつもオンショア。また日本のように突堤やテトラなどの障害物がない。ほぼ自然のビーチ。押し寄せるビッグスウェル+オンショアダンパー+障害物なしで、驚速カレントが生じる。

少し波が上がれば、まずゲットアウトが不可能になる。もちろんトライするけど、結局ギロチンダンパーの餌食となる。果敢にトライしてなんとかアウトに出ても、カレントに乗せられてすごい速さで流される。ヤバい方、ヤバい方に引きずり込まれ、セットが来た時には、ギロチンダンパーのピークがはるか頭の上に・・・。覚悟を決めて、水の中にありったけを動員して深く潜り込む。ドッカーン🌊。・・・運が悪いと、連続セットで気が遠くなりそうなほど水の中でかき混ぜられ、揉まれたりする。

そしてその季節は、赤道直下の激しい雨季。ポイントへの道は水浸しで阻まれ、浜に辿りついても、日中なのに真っ暗な空。激しいスコールや落雷⚡️。

こんなサーフィンが夏の間中続く。

日本でも経験長く波乗りをやってきたし、いろんなポイントで、それなりに乗ってきた。しかしこのコンディションでは全く歯が立たない。なんでそこまでして、波乗りするんだろうねぇ?!一時はだいぶ怯んだ。ここでは、サーフィンいくのやめようかな、、、。そんな考えがよぎったことも。

でもやめません。ここで入らなかったら、負け犬だ。それにアフリカ生活数年間、ブランクとなってしまう。前回のアフリカ生活で、日本での波乗り復帰が大変なことを体感した。

だから毎週、いくら波がひどくとも、海に通い、入ることを決意した。ドルフィン、パドル、フィジカル、恐怖心に打ち勝つ強い気持ち。ここで波のりをやめないことで、たくさんのことが身につく。

そうして波乗り修行僧?のアフリカ・サーフ・サファリが始まった。ここでの波乗りは、大げさだが、自分の中のサーフィン観を180度変えることになった。サーファーとしてのソウル、フィジカル、メンタル。週末しかこれなくても、サーフィンを中心とした生活と体づくり。’Go for it!’、未知へのチャレンジ。旅人としてのソウル。

そしてきょうも、ギロチンダンパーに立ち向かう。

(つづく)