なみのりとむのサーフィン・サファリ日記

アフリカ、ギニア湾岸在住。毎週末の波乗りがサーフィン・サファリです。

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ドルフィンスルー再考(前編)~初心者のためのイメージ転換法

間違えだらけのドルフィンスルー論?!

なみのりとむです。出稼ぎ先のアフリカで、サーフィンサファリなお話。週末、連休、波より日和に、ぼちぼち連載してます。



今日のお題は「ドルフィンスルー」。初心者の中には、なかなかうまくいかなくて、つまずいている人もいるのでは?!

なみのりとむは、もう30年近くもサーフィンをしている。ドルフィンスルーは、若き頃、何年かの時間を必要とした難関だった。いまでも恥ずかしながら、デカイ波、パワーあるショアブレイクなどでは、大きく戻されたり、通り抜けられなかったりすることもある。

その若き日、ドルフィンスルーのhow toものをたくさん目にしてきたけど、かなりわかりにくかった。しかし、ひとたびそれなりにできるようになってみると、はじめに教わっていたような方法や感覚とは、ちょっと違っているのではないか。そんなような気持ちにさいなままれた。



そして年月が経ったいま。というよりいまさら。特に当地、西アフリカのギロチンダンパー波に直面した後、最も再考を迫られたのが、このドルフィンスルーだった。
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そんなことで、きょうは緊急企画(?!)。「ドルフィンスルー再考」と題してお話ししてみたい。なみのりとむ的ドルフィンスルー論が、これからまた練習していこうという人、まだうまくできないけど、うまくなりたいっていう人の参考になればなぁ、と思う。

イルカのスルーというより、アヒルのダイブ(その1)

まずはじめに、ドルフィンスルーのイメージを持つことが大切だと思う。

ドルフィンスルー。英語で「Duck Dive」(アヒルのダイビング)。こっちの方が、よく動きを捉えているような気がする。しばしば、ドルフィンスルーという呼び方が、このテクニックに誤解を与えているような気さえする。



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アヒルのダイブ


ドルフィンスルーの定義は、ブレイクしそうな波、あるいはブレイクしてスープになった波を、水面下をくぐって、波の反対側に抜ける技法。

日本では、しばしばhow toモノの中で、「ドルフィンスルーで深く潜る必要はない。水面近くを最短距離、直線距離で抜ければいい。」なんて、のんきな議論を展開しているものもある。イルカのように、直線的なラインでスーッと抜けられれば、もちろんそれに越したことはない。またうねりや表面だけが崩れているような波ならそれでいい。

だけど、そのくらいのドルフィンなら、How toなんかなくたって、誰でもできていると思う。しかもそれでは少なくとも海外の波では通用しない。

真剣にドルフィンを要する場面は、そんなゆるい波であることは少ない。むしろ不恰好でも「しっかり(頭から)潜る意識」が必要になってくる。海外ではそう教えている。だからDuck Dive。

巻いてくる波や、インパクトブレイクにぶち当たっちゃうとき、そして分厚いスープを超えなければならないとき。しっかりとしたドルフィンができるようになることは、アウトに出るために必須であるのみならず、大きい波への恐怖心をコントロールする上でも重要となってくる。「このセットのうねりならスルーできる」っていう自信が、サイズが上がった時、アウトでの安心感を生む。


なみのりとむ流・初心者のためのイメージトレーニング



初心者がドルフィンスルーを習得する際に、重要になってくるイメージは、「波の下をくぐりながら、波の向こうに抜ける感覚」にあると思う。これを体感することが第一歩。

まずは板を持たないで、体ひとつで、波打ち際のショアブレイク(危なかったら割れない波でももちろんOK!)を前にする。きた波をくぐって、向こう側に抜ける練習を何度かしてみるといい。向かってくる波に、どのタイミングで、どうやって潜ったら、向こう側にうまく抜けられる?何回かやればきっとタイミングがつかめると思う。

もしそれができたら、

今度は、同じインサイドブレイク(※小さな、安全な波で試してね!)で、板を横に抱えて、波がきたら板を沈めて、向こう側に抜くイメージをしてみるといい。この段階ではドルフィンになってなくていい。ボードを脇に抱えたまま、波がきたら波の下をすくうように通して、向こうに抜く。 
最終的には、これを板に乗って、パドルしたままでやればいいってこと。とにかく、波の下をくぐって、向こうに抜けるイメージを持つことがきっかけになる。




波のメカニズムを理解する~渦の回転エネルギー



次に、波のメカニズムを知ることが極めて重要だと思う。実は、そのために秀逸なYouTube動画がある。アカウント名から、インサイト先生と名付けてみた。英語だけど、完璧なまでに一番わかりやすく、科学的。そして、なみのりとむのドルフィンのイメージにまったくドンピシャくる。日本語のサイトでは、ここまでしっくりするレクチャーをしているものはみたことがない。このイメージがあるのとないのでは、全然その後の上達が違うと思う。わかりやすい英語なので、ぜひみてみてほしい!







まず波とは。うねりの力が回転運動によって伝播していくもの。ブレークするとそれがスープとなって、物理的な水の移動に変換される。だからすごいパワーになる。まともに突っ込んだら大変なことになるのは、サーファーなら誰でも体感しているはずだ。


しかしここにヒントがある。波は回転運動なので、前方から一直線には来ない。ブレイクしたあとも、常に円運動を描いて水が移動している。

(まいど、芸術的すぎてすみません↓) 



つまり、この回転の渦の下にうまく身を滑り込ませて、渦の流れに乗れば、もっといえば波の回転運動のエネルギーを利用すれば、スポーンって、向こう側に飛び出るくらいにキレイに抜けられる。





さっきの波打ち際でのボディー・ドルフィン。そして板だけのシミュレーション。なんとなく、この波の下の回転の渦に乗って向こう側に出ていく感覚が感じられない?それを意識して、再びビーチで挑戦してみるとよい。

ドルフィンスルーは、極端な話、これをパドルしながらするだけの話。

ということで、板を持って沖にGO!小さな波から、ドルフィンっぽい波のくぐり抜けを試しにやってみよう。とりあえずは、細かな手順はどうでもいい。板を沈めて、次に足をテールに、、、なんて考えてたら、一瞬にやることが多すぎて、パニクるよね笑?そのうちしっかり修正していけばいいから。

それより大事なのは、波の渦の下をくぐる感覚、そしてそのタイミングを体感していくこと。初めは自己流でいいので、空いているところで練習してみよう。まずはイメージを先行して持つことで、ドルフィンスルー観が変わると思う。

悩んでいる初心者の人は、試してみてはどうでしょう?!?!そして次回、さらにこの先に。

(つづく)