なみのりとむのサーフィン・サファリ日記

アフリカ、ギニア湾岸在住。毎週末の波乗りがサーフィン・サファリです。

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ドルフィンスルー再考(後編)~初心者のためのイメージ転換法

なみのりとむです。出稼ぎ先のアフリカで、サーフィンサファリなお話。週末、連休、波より日和に、ぼちぼち連載してます。



今日のお題は「ドルフィンスルー」後編。初心者の中には、なかなかうまくいかなくて、つまずいている人もいるのでは?!

なみのりとむは、もう30年近くもサーフィンをしている。ドルフィンスルーは、若き頃、何年かの時間を必要とした難関だった。ひとたびそれなりにできるようになってみると、はじめに教わっていたような方法や感覚とは、ちょっと違っているのではないか。そんなような気持ちにさいなままれた。

そんなことで、前回に引き続き、ドルフィンスルー再考。前回は「波の下をくぐる感覚」、「波の渦のメカニズム」についてお話ししたところ。

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前回に引き続き、素晴らしいレクチャーを誇る、YouTubeのインサイト先生にご登場いただこう。 (前回のリンクと同じ画像、英語版です。)

■板は沈めない。

いざ、アウトにパドルアウトする。波がメラメラとこちらに向かってくる。目の前でブレイク寸前。どうしよう。ノーズを沈める、足をテールに。板をノーズから沈めて・・・。一度に起こすアクションが多すぎて、初心者ならパニくるのが普通。

そんな時は、まず「板がなかったら、どう潜る?!」って考えてみたらいいと思う。波がくる。板がなかったら、どのタイミングで潜る?!板があっても、そのタイミングは基本的には同じ(少し早めでもOK)。

そのタイミングで、ノーズをボトムに「刺して」向こうに抜けてみよう。沈めるんじゃないよ。波に板を「刺す」んです。

もののhow toモノには、「板を沈める」と教えているものがあるけど、それは大きな誤解を招く。本当に板を下に沈めようとしても、水の抵抗が大きくて、なかなか沈まないし、せっかくのパドルのスピードを殺す。

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そこで波の根元にノーズから、斜め前に「刺して」いく感覚。これなら、うまくいく。

これを小さな波で何度もやってみる。その時、前回お話しした「波の渦」の感じが感じられるようになったらグッド! f:id:tomsurf:20190331034132j:plain

余裕が出てきたら、だんだん深く「刺しながら」潜ってみたりもしてほしい。それから足もつけてみる。細かいことはどうでもいいので、利き足側で板を沈めて、ドルフィン的にまねていればいいと思う。

「アイスをスプーンですくう」イメージ

板の沈め方を練習しよう。ノーズを沈める時は、テイクオフよりは少し前のデッキに手をつく、あるいはレールを持つ。そして波の根元に、板のノーズを刺し込んでいくイメージ。板が入水したら、手はしっかり伸ばして、できるだけ深く、頭から斜め下に直線的に潜っていく。

そこで次にテールを「蹴る」動作。その時のイメージ。自分の乗っているが板が上から振り子のように紐で吊るされているようなイメージで、円弧に沿って板が前に進むように、テールを「前に押し込む」。下に向かって足で沈めるのではなく、あくまでノーズから刺していく動きをさらにダメ押していく。後ろから、テールを足で前に蹴り押す。(上の④図)

その時のイメージについて、上記のYouTubeインサイト先生は、絶妙な表現を使っている。

「アイスクリームをスプーンですくうように。」

そう。固く凍ったアイス。スプーンでくり抜く時には、スプーンのヘリを使って、スプーンを刺して、円弧を描くようにくり抜くよね? まさにそういう動きを意識しながら、板を波に刺し、テールを後ろから前に押し込んでやる。そうすることで、抵抗なく板が水の中に「沈み」、波の渦に沿って円弧を描くことができる。

このイメージを持ちながら、ノーズを波に、斜め前方向に刺し、次にテールを足で前に押し出してやればいい。その姿勢を陸上でやってみるといいけど、結構大きな姿勢になるのがイメージできると思う。

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「大きなドルフィンスルー」を意識して

潜るタイミングは、初心者の人は、より早いほうがいいと思う。疲れちゃうけど、早目に、深く、(時間的に)長く、そして距離的にも長く潜れるようになれば、あとのは手抜きはいくらでも後からできると思う。

もののhow toには、波が小さかったら「膝でよい」みたいなことを書いているものもあるけど、なみのりとむのおすすめは、まずはしっかりしたドルフィンをすること。膝じゃなくて、足でしっかり大きなドルフィンができるようになったほうがいいと思う。第一、膝では、テールを前に押し出す動きがやりにくい。

では波がもっと大きくて、でかい時はどうするか?ビーチブレイクを前提に、なみのりとむ的ドルフィンをお話ししたい。

まずでっかい波が攻めてきたら、早めに板の沈めに入る。その時、腕をいっぱいに伸ばして頭から(極端に言えば)真っ逆さまくらいの勢いで下に潜り、ノーズを波の渦の下にエグって差し込むイメージで深く沈める。テールも思いっきり(下方向ではなく、進行方向=斜め前に、深く)押し込んで、その動きを早速化させる。運良く、渦の下の流れに乗れることを祈る。水中でスープにドカンと叩かれたり、食らったりしても動じない(ここまむ)。

もし波のサイズが大きく、あるいはスープが分厚い時は、できるだけ水の中でとどまれる時間、距離を伸ばしたい。そのまま平泳ぎのカエル足の要領で水を掻き、少しでも前に、少しでも長く、向こう側に。限界まで行って、向こう側に浮上する。

ハワイアンサーファー、おなじみジョンジョン・フローレンスは、水中を数十メートル、潜水のままドルフィン・スルーで抜けるトレーニングをYouTubeで公開している。

こんな超人技はなかなか真似できるものではないけど、サイズが大きい時は、ひとかきでもふたかきでも伸びれると良い。それから途中スープを食らって体制が崩れていても、動じないで、やるべき動きを継続する。そして体制は浮かび上がりながら整えるようにしよう。

まとめ

「波のメカニズムを理解」、「そのイメージを持って波の渦の下側の流れに乗って、向こう側に抜ける」、「板は沈めるのではない。ノーズを前に刺し、足でテールから押し込んでいく。」、「アイスをすくうスプーンのイメージ」、「大きなドルフィンスルーを意識して」。

これができると、向こう側に抜けた時に、シュポって、気持ちいいくらいに飛び出ることができるよ。なみのりとむ風、ドルフィンスルー論について述べてみました。もっとベテランの方、さらに突っ込んだノウハウ教えてください!

(つづく)