なみのりとむです。出稼ぎ先のアフリカで、サーフィンサファリなお話。週末、連休、波より日和に、ぼちぼち連載してます。
きょうは、なみのりとむのちょっと気象学。前回に続き、西アフリカに台風はないっていうお話。そして台風発生のメカニズムについて。これは日本のサーファーにも役立つお話、かも?!
前回のあらすじ。赤道上ではどんどん空気が熱せられて上昇気流ができて、空気が薄くなって、気圧が低くなって(つまり低気圧)、また空気が流れ込んで上昇して・・・って、入道雲スパイラルなお話。
赤道直下では、こんな風にがんがん積乱雲はできるけど、でも台風にはならないのです。ってお話まで、前回進めました。
なぜって?というのが今日のお話。
台風が発生するためには、「潜熱」起因の低気圧が発生するだけではダメで、もう一つ重要な条件があるのです。
それは地球の自転に関係する話。これちょっと理解が難しいので、なんとかついてきてくださいね❤︎
われらが地球は、1日24時間をかけて絶賛自転中。その速度は、地球上ではみんな一緒に自転しているから見えないのだけれど、もし太陽から見ると、水平に移動する速度は、赤道付近の方が大きく、極に向かうほど小さい。つまり、ほぼ赤道直下にいるなみのりとむは、日本にいるみなさんの約1.5倍近いスピードで地球を回っているのです!
なので、赤道から北に向かって大砲みたいなものを発射すると、大砲は赤道の速さそのままで北に向かって飛んでいく。緯度が北に上がるにつれて、その緯度にあるものよりも、早いスピードで東に移動するので、先に、先についてしまう。これを地上から見ると、あたかも右に曲がっているように見えてしまうというわけ。
なみのりとむの芸術的手書き絵図でご紹介↓
イラスト、芸術すぎて、すみません苦笑。
この大砲の話、北極から南に大砲を撃っても同じ。北極は自転していても水平速度はほぼゼロ。緯度が南になると半径の分だけ速度が速い。北極から発射した大砲は遅いので、右に置いていかれてしまう。
この右に曲がっているように見える力を「転向力」、または発見者の名前をとって「コリオリの力」っていう。北半球では、常に右に働く力となって、南半球なら逆の左に向く力に見える。
さて前編で述べた赤道上の熱気を含んだ風。北に向かって進む風は、そのうち、コリオリの力を受けて、時間がたつとどんどん右に曲がっていく。他方、上昇気流が発生しているところでは、どんどん空気が薄くなって低気圧になっているから、風はそっちの方向に引っぱられる(気圧傾度力という)。そうすると、コリオリの力と、気圧傾度力が釣り合って、等圧線に沿って吹くことになる。海面に近い、低い高度では、さざなみの摩擦力を受けて、速度が遅くなる。そうすると、釣り合いが崩れて、風は少し低気圧のまわりを、左巻きに、すこしだけ中心方向に向かって吹くようになってくる。
気圧の低いところが発達していくと、どんどん中心に向かう力が強くなってくる。つまり円運動になろうとするのだけど、そうなると逆に遠心力も働くから、風は等圧線に沿って、どんどん加速して吹いていくことになる(ボトムターンで、遠心力効いて、グッとスピードがのるのと同じ原理かな?)そしてお馴染みの、等圧線ぐるぐる巻き台風に発達するというわけ。再び、芸術的絵図にて↓
ということで、コリオリの力があることで、低気圧に引き込もうとする力(気圧傾度力)と、摩擦力と、遠心力が綱引きになって、風がどんどん加速していくというお話。
そのコリオリの力、難しく数学的に説明すると、その地点の緯度がφ°のとき、sinφ°に比例するんだそう!(アレルギー)。つまり、緯度が低いほど、この力が働かない。赤道付近では0、北緯30°で0.5、60°で1.2、北極なら無限大。台風の渦巻きを作るには、最低でも緯度5°は必要なんだそう。だから西アフリカでは台風は発生しないのです。
じゃあコリオリの力がデカかったらいいかというと、またそうでもないみたい。台風の渦は潜熱とコリオリの力がその源。前者は赤道付近が強くて、後者は極地方の方が強い。結局、二つの力が釣り合う、緯度15°付近が台風が最もできやい海域となっているそう。太平洋ならおなじみ、フィリピンや小笠原沖がまさにこの海域。
(FNの高校物理(分野別目次)より↓)
すごいねー、日本の南側、南太平洋は世界一の台風量産地帯だよ・・・。
全くマニアックな話になってしまったけど、そんなことで、西アフリカには台風がありません。
サーファーなら、こんな気象学知ってて損はないよね。でも、ややこしくて渦を巻くような話だったらすみません。とむのせいじゃありません。コリオリの力が働きすぎました。
(おわり)