映画「エンドレス・サマー」旅のはじまり
アフリカにはめちゃくちゃいいブレイクが、まだまだ人知れず立っている。
以前の記事でも述べたけど、アフリカにサーフィンが到着したのは結構古い。
すぐに思い浮かぶのはもちろん、不朽の名作、‘Endless Summer’(ブルース・ブラウン監督、1965年、米国)でのシーンだろう。
冬に極寒となるカリフォルニア。二人のサーファー、マイク・ヒンソンとロバート・オーガストが、「終わりなき夏」を探しに旅に出る物語。なみのりとむも若き日、ビデオが二本も擦り切れるほど見た名作。・・・っていうか、途中でかならず寝落ちちゃうんだけど。おかげでセリフまで睡眠学習した。
この二人が最初に訪れるのが、西アフリカのセネガル共和国。「終わりなき夏」っていうけど、ここセネガルは北半球だから、カルフォルニアが冬の頃は、同じく冬なんだけどね笑。
ここはなみのりとむが最初にアフリカに出稼ぎに行った国。波乗りもたくさんした。もう15年近くも昔の話で、少し古い情報だが、当時の記憶をたどって書いてみたいと思う。
隠れたサーフパラダイス・セネガル
映画のシーンで出てくる首都ダカール。西アフリカ最西端に突き出た、三角形の半島に位置している。映画がフィルムされたポイントは、この北側にあるンゴール島の横。通常、レフトと呼ばれるポイント。
´Surfin in Africa!’、ヒャッホー!!と波乗りを始める二人。だがブルース・ブラウン監督のその後のインタビューによれば、いい波が入ってくるまで、一週間くらい待ち続けたという。たしかに、いつでもあんなにキマった波が入ってくるわけではない。
映画で出てくる「コーヒー 一杯360円!」の悪評とともに映るホテルは、インターコンチネンタルホテル(当時)、いまはンゴール・ジャラマホテルといって、あのまま健在。古き良き(?)アフリカの不合理は、今も動態保存されている?!
セネガル、首都ダカールはさっき言ったとおり、三角形に突き出た半島に位置している。バラエティある地形に富んでおり、波乗り天国。
風は南から吹いてくるサーマルウィンドか、北東方向・砂漠の国モーリタニアから吹いてくる乾いたハルマッタン。どこか風を避けられるポイントがある。またボトムもリーフからビーチまで、よりどりみどり。ということで、ビギナーからエキスパートまでが満足できる波が、大体どこかで立っている。
そしてなんといっても、フレンドリーなローカルサーファーたち。もちろんルールとマナー、リスペクトを忘れてはいけないが、それにしてもみんなスーパーメロー。
バリやハワイほどのリゾート感はないが、適度なサーフサファリ感、フレンドリーなロコ、背景に大都会ダカールの混沌。旅のアウェーとトリップ感をほどよく味わえる、隠れたサーフパラダイスだ。
多彩なポイント
セネガルには多数のポイントがあるが、まずは首都ダカールのポイントを抑えるのがスタートだ。
一番メジャーなポイントは、北に面したヨフ海岸(マップ右上)。南風がオフになるビーチブレイク。ふだんはビギナー向けのブレイクだが、波が上がるとカレントが強くなり、クローズしやすい。
マップを西側に見ていくと、市内中心部から来た幹線道路が北のビーチにぶつかって大きく右に曲がる場所に、「曲がり角」(Virage)ポイントがある。ここはリーフの上にサンドが乗った地形で、ヨフよりもキレイにまとまったブレイクが入ってくる。ビギナーにも優しいポイントだ。
ビーチをさらに西に進んでいくと、沖に島が浮かんでいるのが近づいてくる。ここがまさにエンドレスサマーの舞台となった「ンゴール・ポイント」。
島を挟んで、向かって右側にンゴール・レフト、右側にンゴール・ライトがある(ややこしい?!)。ボトムはシャローなリーフで、10フィートオーバーになってもクローズしない。映画はンゴールレフトでのライディングシーン。マイク・ヒンソンがワイプアウトしておデコを切ったシーンが出てくる。上級者向けのポイント。
ライトは潮によらず、コンディション次第でサーフ可能だが、レフトは引いている時間の方がいいと言われる。できればリーフブーツが欲しい。
この他、ンゴールにはジャラマホテル側からパドルアウトするビーチ岸側のブレイクの他、沖のンゴール島に渡った先のポイントがある。
メインとなるンゴールライト、レフトへのアクセスは、ンゴール島からのアプローチが一般的。いまも変わっていなければ、島には陸地側の海岸から、「ピローグ」と言われる伝統的なアフリカのボートで渡るしか手段がない。ボードの乗降は、水の中を歩くことが強要されるので笑、濡れ濡れ必須。島側には、いまやサーフロッジがある。
マップ上でンゴール島をさらに西に進むと、岬の突端に到着する(※実際の陸路はないので、一旦内陸からアプローチが必要)。ここがアフリカ大陸最西端、「アルマジ岬」だ。この岬の周辺にもポイントが広がる。南北で風とうねりが異なるので、コンディションにあわせてポイントを選択することができるが、どこもロッキーなリーフで、経験者オンリーのポイント。
岬を回ると海岸線は北西から南東に伸びる向きに変わる。北のヨフ側がクローズしたり、オンになる時にはこちらに回るとよい。岬あたりのシャローなポイントをもう少し南に下ったところに、「シークレット・スポット」というメジャースポットがある笑。ここはサイズが小さくまとまり、形もシェイプされて入ってくる。ロングボードや初心者向きのポイント。
さらに南に下ると、奥まった入江に、ひときわ目立つ、たかーいモスク(イスラーム寺院)のある海岸がある。ここがワカムリーフ。ここは普段は波があまりないが、リーフにうねりがヒットすれば、掘れたバレルが立つ。ボトムはシャローで、波はパワフル。潮は上げ気味の方が良い。リーフブーツは必須。
これらのブレイクはすべて首都ダカール中心部から20分以内。これだけの多彩なサーフポイントが隣接する、理想的な環境は、アフリカでもなかなか類を見ない。
なみのりとむがサーフしてた頃は、掘っ建て小屋のようなサーフロッジが数件あったくらいだが、いまはたくさんのサーフリゾートやキャンプができた。
セネガルの食べ物は、西アフリカの中でも特別に日本人の舌にあう。何と言ってもコメがよく食べられるし、パンもうまい。
アフリカ風パエリヤ「チュブジェン」や、玉ねぎソースのぶっかけ鳥丼「ヤッサプレ」、オクラと貝のぶっかけご飯「スープカンジャ」など、日本人にもウケる、おいしいご飯。デブ化注意報!
ダカールへの行き方
日本からエールフランスでパリ経由、ダカールへが標準経路(日本初深夜便を使えば、翌日夜につきます。帰りは現地夜初便、翌々日の午前に日本着)。
その他、エミレーツ航空でドバイ経由もあります(注: エールフランスより安いですが、滞在は短くなります。あと荷物制限超厳しいです)。
いかがでしたか?こんどのサーフトリップは、ぜひ隠れたサーフパラダイス、セネガル・ダカールへどうぞ!
(おわり)